「数列と微分積分」の版間の差分

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関数 $$f(x)$$ に対して
 
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なる $$\frac d{dx}f(x)$$ が $$f(x)$$ の微分であった。
 
なる $$\frac d{dx}f(x)$$ が $$f(x)$$ の微分であった。
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ここで $$h\to0$$ という極限を取るのではなく $$h=1$$ と固定すると
 
ここで $$h\to0$$ という極限を取るのではなく $$h=1$$ と固定すると
  
$$\displaystyle{\Delta f(x)=f(x+1)-f(x)}$$
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となる。
 
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==積分法と和分法==
 
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===定積分と定和分===
 
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:[[File:Riemann Integration.png|thumb|CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=402063]]
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[[File:Riemann Integration.png|thumb|CC 表示 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=402063]]
 
関数 $$f(x)$$ に対して
 
関数 $$f(x)$$ に対して
  
$$\displaystyle{\sum\nolimits_a^bf(x)\,\delta x=\sum_{x=a}^{b-1}f(x)}$$
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で表される $$\sum\nolimits_a^bf(x)\,\delta x$$ を $$f(x)$$ の $$a$$ から $$b$$ までの'''定和分'''と呼び、右図の灰色の部分の面積を表す。
 
で表される $$\sum\nolimits_a^bf(x)\,\delta x$$ を $$f(x)$$ の $$a$$ から $$b$$ までの'''定和分'''と呼び、右図の灰色の部分の面積を表す。
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この時右図の長方形の横幅はそれぞれ $$1$$ であるが、この幅の $$0$$ への極限をとった時の面積が
 
この時右図の長方形の横幅はそれぞれ $$1$$ であるが、この幅の $$0$$ への極限をとった時の面積が
  
$$\displaystyle{\int_a^bf(x)\,dx}$$
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:$$\displaystyle{\int_a^bf(x)\,dx}$$
  
 
であり、 $$f(x)$$ の $$a$$ から $$b$$ までの定積分である。
 
であり、 $$f(x)$$ の $$a$$ から $$b$$ までの定積分である。
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差分の逆演算をしたもの、すなわち
 
差分の逆演算をしたもの、すなわち
  
$$\displaystyle{\Delta \sum f(x)\,\delta x=f(x)}$$
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:$$\displaystyle{\Delta \sum f(x)\,\delta x=f(x)}$$
  
 
を満たす $$\displaystyle{\sum f(x)\,\delta x}$$ を$$f(x)$$ の'''不定和分'''と呼ぶ。
 
を満たす $$\displaystyle{\sum f(x)\,\delta x}$$ を$$f(x)$$ の'''不定和分'''と呼ぶ。
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==和分差分学の基本定理==
 
==和分差分学の基本定理==
$$\displaystyle{\Delta\sum\nolimits_a^xf(t)\,\delta t=f(x)}$$
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すなわち $$F(x)=\sum f(x)\,\delta x$$ とした時
 
すなわち $$F(x)=\sum f(x)\,\delta x$$ とした時
  
$$\displaystyle{\sum\nolimits_a^bf(t)\,\delta t=F(b)-F(a)}$$
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が成立する。
 
が成立する。

2020年3月2日 (月) 20:28時点における版


この記事は主に高校数学においての数列と微分積分法の分野の関係についての独自研究である。

はじめに

高校数学では数列と関数は全くの別物のように扱われているが、数列も主に自然数に対して定義されている歴とした関数である。

極限を扱う微分積分よりも以下に述べる和分差分は直感的に分かりやすい為、数列だけでなく微分積分の見方も変わるかも知れない。

微分法と差分法

関数 $$f(x)$$ に対して

$$\displaystyle{\frac d{dx}f(x)=\lim_{h\to0}\frac{f(x+1)-f(x)}h}$$

なる $$\frac d{dx}f(x)$$ が $$f(x)$$ の微分であった。

ここで $$h\to0$$ という極限を取るのではなく $$h=1$$ と固定すると

$$\displaystyle{\Delta f(x)=f(x+1)-f(x)}$$

となる。 このとき$$\Delta f(x)$$を$$f(x)$$の差分と呼ぶ。 [注 1]

また、微分と同様に $$f(x)$$ の定数項は $$\Delta f(x)$$ に関係がないことは微分よりも明確にわかる。

積分法と和分法

定積分と定和分

関数 $$f(x)$$ に対して

$$\displaystyle{\sum\nolimits_a^bf(x)\,\delta x=\sum_{x=a}^{b-1}f(x)}$$

で表される $$\sum\nolimits_a^bf(x)\,\delta x$$ を $$f(x)$$ の $$a$$ から $$b$$ までの定和分と呼び、右図の灰色の部分の面積を表す。 [注 2]

この時右図の長方形の横幅はそれぞれ $$1$$ であるが、この幅の $$0$$ への極限をとった時の面積が

$$\displaystyle{\int_a^bf(x)\,dx}$$

であり、 $$f(x)$$ の $$a$$ から $$b$$ までの定積分である。

不定積分と不定和分

差分の逆演算をしたもの、すなわち

$$\displaystyle{\Delta \sum f(x)\,\delta x=f(x)}$$

を満たす $$\displaystyle{\sum f(x)\,\delta x}$$ を$$f(x)$$ の不定和分と呼ぶ。 [注 3]

上述の通り差分は元の関数の定数項に関係ないため、不定和分は不定積分と同様に定数項が任意定数となる。

和分差分学の基本定理

$$\displaystyle{\Delta\sum\nolimits_a^xf(t)\,\delta t=f(x)}$$

すなわち $$F(x)=\sum f(x)\,\delta x$$ とした時

$$\displaystyle{\sum\nolimits_a^bf(t)\,\delta t=F(b)-F(a)}$$

が成立する。

これは微分積分学の基本定理に対応する。

  1. 階差数列とも呼ばれる。
  2. 終点 $$b$$ は含まれないことに注意する。
  3. 逆差分 $$\Delta^{-1}f(x)$$ と表されることもある。