メインメニューを開く

差分

ガラパゴ数列

3,883 バイト追加, 2021年2月1日 (月) 01:00
編集の要約なし
'''ガラパゴ数列'''(ガラパゴ数列)とは、互いに複素共役な二つの複素数 (ガラパゴ数列)とは、複素数 $$z$$ を累乗した際に虚部と実部がそれぞれ何倍されるのかを表す実数列である。このときの $$\overline{z}$$ の和と積を係数とする三項間漸化式により生成される実数列である。を'''生成元'''といい、虚部側の数列を'''第1種ガラパゴ数列'''、実部側の数列を'''第2種ガラパゴ数列'''という。
斜交座標系における幾何学的な性質を簡潔に表現することを主目的として 数式を用いて表現するならば、生成元を $$z$$ とする第1種ガラパゴ数列を $$G_n$$、第2種ガラパゴ数列を $$G'_n$$ として  :$$z^n=[\mathrm{Im}~z^n]~i+[\mathrm{Re}~z^n]=[G_n\cdot\mathrm{Im}~z]~i+[G'_n\cdot\mathrm{Re}~z]$$ :$$\quad\begin{cases}\mathrm{Im}~z^n=G_n\cdotp\mathrm{Im}~z\\[4pt]\mathrm{Re}~z^n=G'_n\cdotp\mathrm{Re}~z\end{cases}$$ または $$\begin{pmatrix}\mathrm{Im}~z^n\\\mathrm{Re}~z^n\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}\mathrm{Im}~z&0\\0&\mathrm{Re}~z\end{pmatrix}\begin{pmatrix}G_n\\G'_n\end{pmatrix}$$ :より $$\quad\begin{cases}G_n=\frac{\mathrm{Im}~z^n}{\mathrm{Im}~z}\\G'_n=\frac{\mathrm{Re}~z^n}{\mathrm{Re}~z}\end{cases}$$  をそれぞれ満たす数列ということになる。これらの数列は、斜交座標系における幾何学的な性質を簡潔に表現することを主目的として [[みゆ]] によって導出された。
== 概要 ==
 
===第1種ガラパゴ数列===
複素数 $$z$$ とその複素共役 を生成元とする第1種ガラパゴ数列の一般項 $$G_n$$ は次のように定義される。  $$\displaystyle G_n=\frac{\mathrm{Im}(z^n)}{\mathrm{Im}(z)}=\frac{z^n-\overline{z}^{~n}}{z-\overline{z}}=\sum_{k=0}^{n-1}\overline{z}^{~k}\cdot z^{n-k-1}$$ 特に $$|z|=1$$ のとき、$$\displaystyle G_n=\frac{\sin(n~\mathrm{Arg}~z)}{\sin(\mathrm{Arg}~z)}=\sum_{k=0}^{n-1}z^{n-2k-1}$$ の和と積を係数とする三項間漸化式を次のように定める。  この数列は、次の三項間漸化式より導出することができる。
この数列の一般項 $$G_n$$ のなす数列を $$z$$ を生成元とする'''第1種ガラパゴ数列'''という。
===第2種ガラパゴ数列===
:複素数 $$\displaystyle G_n=\displaystyle\frac{z^n-\overline{z}^{~n}}{z-\overline{z}}=\sum_{k=0}^{n-1}\overline{z}^{~k}\cdot z^{n-k-1}$$を生成元とする第2種ガラパゴ数列の一般項 $$G'_n$$ は次のように定義される。
$$G_n$$ の値は $$\displaystyle G'_n=\frac{\mathrm{Re}(z^n)}{\mathrm{Re}(z)}=\frac{z^n+\overline{z}^{~n}}{z+\overline{z}}~\underbrace{\left(=\sum_{k=0}^{2m}(-\overline{z$$ によって異なるため、$$})^{~k}\cdot z^{2m-k}\right)}_{n=2m+1~のとき}$$ が具体値をとる場合にはその値を生成元として明示する必要がある。
特に $$|z|=1$$ のとき、$$\displaystyle G'_n=\frac{\cos(n~\mathrm{Arg}~z)}{\cos(\mathrm{Arg}~z)}~\underbrace{\left(=\sum_{k=0}^{2m}(-1)^{~k}\cdot z^{2(m-k)}\right)}_{n=2m+1~のとき}$$
特に $$|z|=1$$ のとき、$$\begin{cases}z\cdotp\overline{z}=1\\z+\overline{z}=2\cos\left(\mathrm{Arg}~z\right)\\\end{cases}$$ であることから、
:$$\displaystyle G_n=\frac{\sin\left(n~\mathrm{Arg}~z\right)}{\sin\left(\mathrm{Arg}~z\right)}=\sum_{k=0}^{n-1}z^{n-2k+1}$$
と表せる。
 
 
===第2種ガラパゴ数列===
複素数 $$z$$ とその複素共役 $$\overline{z}$$ の和と積を係数とする三項間漸化式を次のように定める。この数列は、次の三項間漸化式より導出することができる。
この数列の一般項 $$G'_n$$ のなす数列を $$z$$ を生成元とする'''第2種ガラパゴ数列'''という。
==導出==
:$$\displaystyle G'_n=\displaystyle\frac{z^n+\overline{z}^{~n}}{z+\overline{z}}$$ $$\huge($$$$n$$ が奇数のとき展開可能 $$\displaystyle G'_n=\sum_{k=0}^{n-1}(-\overline{z})^{~k}\cdot z^{n-k-1}\huge)$$
 
 
$$G'_n$$ の値は $$z$$ によって異なるため、$$z$$ が具体値をとる場合にはその値を生成元として明示する必要がある。
 
 
特に $$|z|=1$$ のとき、$$\begin{cases}z\cdotp\overline{z}=1\\z+\overline{z}=2\cos\left(\mathrm{Arg}~z\right)\\\end{cases}$$ であることから、
:$$\displaystyle G'_n=\frac{\cos\left(n~\mathrm{Arg}~z\right)}{\cos\left(\mathrm{Arg}~z\right)}$$ $$\huge($$$$n$$ が奇数のとき $$\displaystyle G'_n=\sum_{k=0}^{n-1}(-1)^{~k}\cdot z^{n-2k-1}\huge)$$
と表せる。
 
 
 
==導出==
三項間漸化式
'''第1種ガラパゴ数列の場合'''
'''第2種ガラパゴ数列の場合'''
==性質ガラパゴ数列の相互定理== $$z$$ を生成元とする第1種ガラパゴ数列 $$G_n$$ と第2種ガラパゴ数列 $$G'_n$$ の間には次のような関係性がある。  :$$\begin{align*}G_n&=\frac{z^n-\overline{z}^{~n}}{z-\overline{z}}\\&=\frac{(z^n-\overline{z}^{~n})(z+\overline{z})}{(z-\overline{z})(z+\overline{z})}\\&=\frac{z^{n+1}+z^n\cdotp\overline{z}-\overline{z}^{~n}\cdotp z-\overline{z}^{~n+1}}{(z-\overline{z})(z+\overline{z})}\\&=\frac{z^{n+1}-z^n\cdotp\overline{z}+\overline{z}^{~n}\cdotp z-\overline{z}^{~n+1}}{(z-\overline{z})(z+\overline{z})}+\frac{2z^n\cdotp\overline{z}-2\overline{z}^{~n}\cdotp z}{(z-\overline{z})(z+\overline{z})}\\&=\frac{(z^n+\overline{z}^{~n})(z-\overline{z})}{(z-\overline{z})(z+\overline{z})}+\frac{2(z\cdotp\overline{z})(z^{n-1}-\overline{z}^{~n-1})}{(2\mathrm{Re}~z)(z-\overline{z})}\\&=\frac{z^n+\overline{z}^{~n}}{z+\overline{z}}+\frac{2(z\cdotp\overline{z})}{2\mathrm{Re}~z}\cdot\frac{z^{n-1}-\overline{z}^{~n-1}}{z-\overline{z}}\\&=G'_n+\frac{2|z|^2}{2\mathrm{Re}~z}\cdot G_{n-1}\\\end{align*}$$  $$\therefore~\begin{cases}G_n&=G'_n+\frac{|z|^2}{\mathrm{Re}~z}\cdot G_{n-1}\\G'_n&=G_n-\frac{|z|^2}{\mathrm{Re}~z}\cdot G_{n-1}\end{cases}$$ 
===ガラパゴ累乗定理の係数列===[[ガラパゴ累乗定理]] とは、複素数 $$z$$ の累乗は $$z+\overline{z}$$ と $$z\cdot\overline{z}$$ を元とする多項式より生成される実数を係数とする $$z$$ の一次式で表せるという定理であり、$$z$$ を生成元とする第1種ガラパゴ数列 $$G_n$$ を用いて次のように表すことができる。このような相互関係を'''ガラパゴ数列の相互定理'''という。
:$$\begin{align*}z^n=G_nz-(z\cdotp\overline{z})G_{n-1}\end{align*}$$
==ガラパゴ数列の応用例==
この一次式の係数列を ===ガラパゴ累乗定理=== ガラパゴ数列の相互定理より  :$$\begin{align*}G_n&=G'_n+\frac{|z|^2}{\mathrm{Re}~z}\cdot G_{n-1}\\G_n\cdot\mathrm{Re}~z&=G'_n\cdot\mathrm{Re}~z+|z|^2\cdot G_{n-1}\\G_n(z-\mathrm{Im}~z~i)&=G'_n\cdot\mathrm{Re}~z+|z|^2\cdot G_{n-1}\\[G_n] z-[G_n\cdot\mathrm{Im}~z]~i&=[G'_n\cdot\mathrm{Re}~z]+[|z|^2\cdot G_{n-1}]\\[G_n] z+[-|z|^2\cdot G_{n-1}]&=[G_n\cdot\mathrm{Im}~z]~i+[G'_n\cdot\mathrm{Re}~z]\\\end{align*}$$  と変形できるが、この右辺はガラパゴ数列の定義より $$z^n$$ である。したがって  :$$z^n=\underbrace{[G_n]~z+[(-|z|^2)G_{n-1}]}_{1~と~z~を基底の元とする斜交座標}=[\underbrace{[G_n\cdot\mathrm{Im}~z]~i+G'_n\cdot\mathrm{Re}~z]}_{1~と~i~を基底の元とする直交座標}$$  というように $$z^n$$ は $$1$$ と $$z$$ を基底の元とする斜交座標系と相互変換することができる。 ガラパゴ数列の各項は三項間漸化式にみるように $$z+\overline{z}=2\mathrm{Re}~z$$ と $$z\cdot\overline{z}=|z|^2$$ を元とする多項式で表現可能であるため、この $$z$$ の一次式の係数もまた同様といえる。このような $$z$$ の累乗に関する定理を[[ガラパゴ累乗定理]]という。(詳しくは参照先)  ちなみに、この $$z$$ の一次式の係数を $$C_n=(-(z\cdotp\overline{z})G_{n-1}$$、$$S_n=G_n$$ と表すならば、それぞれの数列は次のように行列の積としても表現できる。と表すならば、それぞれの数列は次のように行列の積でも表現可能である。
この行列は、$$1$$ と $$z$$ を基底の元とする空間において を基底の元とする斜交座標空間において $$z$$ と $$z^2=z\cdot(-\overline{z}+z+\overline{z})=-(z\cdot\overline{z})+z(z+\overline{z})$$ すなわち $$\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}$$ と $$\begin{pmatrix}-z\cdot\overline{z}\\z+\overline{z}\end{pmatrix}$$ を新たな基底の元とする空間 $$\begin{pmatrix}0&-z\cdot\overline{z}\\1&z+\overline{z}\end{pmatrix}$$ を累乗することで自己相似空間を作り、結果的に $$\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}$$ すなわち $$z$$ が累乗されていく様を表している。
===ガラパゴ三角関数のマクローリン展開係数列ガラパゴ三角関数のマクローリン展開===
[[ガラパゴ三角関数]] とは、$$+1$$ と $$z=e^{i\theta}$$ を理論上の基底の元($$z$$ が実数でも $$+1$$ とは独立した元とみなす)とする斜交座標系において、
極座標 $$e^{xz}$$ を基底の元の線形結合で表現したときの各元の係数を得る関数であり、第1種ガラパゴ数列 $$G_n$$ を用いて次のように表すことができる。
:$$\begin{align*}
\lim_{n\to\infty}\left(1+\frac{x}nz\right)^n=e^{xz}=&\sum_{k=0}^\infty\frac{z^k}{k!}x^k=\sum_{k=0}^\infty\frac{G_kz-G_{k-1}}{k!}x^k\\
=&\cos_zx+z\sin_zx=-\sum_{k=0}^\infty\frac{G_{k-1}}{k!}x^k+z\sum_{k=0}^\infty\frac{G_k}{k!}x^k
\end{align*}$$
ちなみに、$$\cos_zx$$ と $$\sin_zx$$ のマクローリン展開係数に現れる $$-G_{n-1}$$ と $$G_n$$ をそれぞれ $$C_n=-G_{n-1}$$、$$S_n=G_n$$ と表すならば、それぞれの数列は次のように行列の積としても表現できる。と表すならば、それぞれの数列は次のように行列の積でも表現可能である。
自然数 $$k$$ に対して、'''第 $$k$$ 貴金属数'''は2次方程式 $$x^2-kx-1=0$$ の正の解 $$\frac{k+\sqrt{k^2+4}}2$$ である。
第 $$k$$ 貴金属数をガラパゴ数列の生成元 $$z$$ とする場合、$$z$$ は実数であるためその複素共役は自分自身に一致($$z=\overline{z}$$)する。しかし、)する。 ここで、複素共役同士の関係というのは  :$$\begin{align*}z^2&=z\cdot z\\&=(z+\overline{z}-\overline{z})\cdot z\\&=(z+\overline{z})\cdot z-\overline{z}\cdot z\\&=(z+\overline{z})\cdot z-(\overline{z}\cdot z)\\\end{align*}$$ :$$z^2-\underbrace{(z+\overline{z})}_{2\mathrm{Re}~z}\cdot z+\underbrace{(\overline{z}\cdot z)}_{|z|^2}=0$$  を $$z$$ の2次方程式とみなしたときの共役解 $$z$$ と $$\overline{z}$$ の関係とみることができる。そこで、貴金属数の定義にみる $$x^2-kx-1=0$$ の共役解の関係を広義の複素共役とみなせば次のように解釈することができる。
となる。また、いずれの数列も隣接2項の比の極限は となる。(いずれの数列も隣接2項の比の極限は $$\phi=\frac{1+\sqrt{5}}2$$ に収束する。に収束する。)  ちなみにこのとき、黄金数の虚部と実部は次のように解釈されているため、  :$$\begin{cases}\mathrm{Im}~\phi=-\sqrt{-\left[\left(\frac12\right)^2+1\right]}=-\frac{\sqrt{-5}}2\\\mathrm{Re}~\phi=\frac12\end{cases}$$  ガラパゴ数列の定義に従って黄金数の累乗を表現すれば  :$$\begin{align*}\phi^n&=\left[F_n\cdot\mathrm{Im}~\phi\right]~i+\left[L_n\cdot\mathrm{Re}~\phi\right]\\&=\left[F_n\cdot\frac{-\sqrt{-5}}2\right]~i+\left[L_n\cdot\frac12\right]\\&=\frac{F_n\sqrt5+L_n}2\end{align*}$$  と表される。また、  :$$\begin{align*}\frac{|z|^2}{\mathrm{Re}~z}&=\frac{\phi\cdot\overline{\phi}}{\mathrm{Re}~\phi}\\&=\frac{\frac{1+\sqrt5}2\cdot\frac{1-\sqrt{5}}2}{\frac12}\\&=-2\end{align*}$$  であるため、ガラパゴ数列の相互定理によって  :$$\begin{cases}F_n=L_n+\frac{|z|^2}{\mathrm{Re}~\phi}\cdot F_{n-1}=L_n-2F_{n-1}\\L_n=F_n-\frac{|z|^2}{\mathrm{Re}~\phi}\cdot F_{n-1}=F_n+2F_{n-1}\end{cases}$$  という相互関係を見出すことができる。