集合論とは、集合を中心に扱う数学の分野で、19世紀後半のドイツの数学者ゲオルク・カントール(1845 ~ 1918)によって創始され、その後の現代の数学分野に大きな影響を及ぼした。
また高校数学では、集合論の基礎的な一部とその前提知識として要求される論理がカリキュラムとして数学Aに導入されている。
集合
集合(set)とは「ものの集まり」を意味している。この集められる対象となる「もの」を集合の要素あるいは単に元(element)という。(以下、元で統一する。)
また、元が1つもないような集合のことを空集合といい、$$\emptyset$$と表現する。
このとき、$$x$$ が集合 $$X$$の元であることを、$$x \in X$$ 、あるいは$$x$$が集合$$X$$の元でないことを、$$x \notin X$$と表し、こうした集合の元と、元が含まれる集合との関係を帰属関係という。
集合$$X$$の全ての元 $$x$$が別の集合$$Y$$の元であるような関係( $$x \in X, x \in Y$$)を、$$X \subset Y$$, あるいは$$X \subseteq Y$$と表現し、このような集合同士の関係を包含関係と言い、この関係における集合$$X$$は、集合$$Y$$の部分集合$$X$$という。また$$x \in X$$であり$$ X \neq Y$$となるような包含関係を真部分集合という。
$$P$$を一つの数学的な命題とする。このとき命題$$P$$を満たすような $$x$$ を$$P(x)$$、また命題$$P$$を満たす $$x$$ 全体を$$\{ x | P(x)\}$$と表現する。
よって、例えば実数全体の集合$$\mathbb{R}$$は次のように表せる。
$$\mathbb{R} = \{x | -\infty < x < \infty \}$$
集合同士の演算
全体集合を$$U$$, $$U$$の元を$$x$$、部分集合を$$A, B$$とする。
このとき、$$x$$が$$A, B$$の元のいずれかであるような集合を和集合といい、次のように表す。
$$A \cup B \equiv \{ x \in U | x \in A$$ または $$ x \in B\}$$
また $$x$$ が$$A$$と$$B$$の共通の元であるような集合を共通集合といい、次のように表す。
$$A \cap B \equiv \{ x \in U | x \in A$$ かつ $$x \in B\}$$
このような、和集合$$A \cup B$$は、AとBの「結び」と呼び、共通集合$$A \cap B$$は、AとBの「交わり」と呼ぶ。
$$A \cap B = \emptyset$$のとき、AとBは互いに素である。このときの$$A \cup B$$を$$A + B$$と表すことができ、これを$$A$$と$$B$$の直和という。
元 $$x$$が2つの部分集合$$A, B$$に対して、$$A$$のみの元であるような集合を差集合、またこのときの集合$$B$$を集合$$A$$に関する補集合$$B^\complement$$と言い、以下のように表すことができる。
$$B^\complement = A \setminus B \equiv \{x \in X | x \in A, x \notin B\}$$
また差集合は$$A-B$$と表すこともできる。
補集合に関する公式としてド・モルガンの法則がある。
$$ (A\cup B)^\complement = A^\complement \cap B^\complement\\ (A\cap B)^\complement = A^\complement \cup B^\complement $$