大学入試と「物理」

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2019年9月8日 (日) 17:08時点における天輝主 (トーク | 投稿記録)による版 (→‎必須の知識)
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この記事は、著者の物理の大学入試問題のルーティンを成文化することで、思考及び解答を迅速化することを狙った独自研究である。

思考の根底にあること

(まえがきのつもりで書いていたら長くなり過ぎました。読み飛ばしてもらってもいいと思います)

ここに書きたい記事は大学入試の「物理」を扱うものといっても、大学入試問題を解説するわけでもないし、物理ができるようになることを啓蒙するわけでもない(できる能力もない)。はたまた所謂参考書めいたことをつらつらと書くわけでもない。さてじゃあコイツがこの記事を偉そうに作成した訳というものは一体何なのだろうか。解せない。

これまで様々の大学受験の問題に挨拶をしてくるうち、一度陥ってしまった傲慢な考えというものがある。これはどうやら自分に限らないようなのである。高校物理に微積を使うべきか否か―。そう。この問題に関わることを論じたいのである。

物理を学ぶ中でこれを聞かないことはない。文科省と教師、予備校同士、予備校内部、学生間でまで、まさに戦争が起こっている。一方は一方を批判し、感情的かと思われるほどに白熱し続ける議論は当たることのない機関銃のよう。盛り上がりの割に終わることもない。ネガティブな乱痴気騒ぎに揉まれた受験生たちは途方に暮れる訳である。いまここで船頭多くした船は嵐の中で羅針盤を失った。彼らは一体どこへ逝くのか。暗く染まる微積の荒波か、教科書という海図を頼りに着実に嵐を抜けるか、中には少なからず、修羅の暗記の山登り。師多くして人我流に頼る。

そもそも物理は人の傲慢と紙一重な部分にある学問で、直面した人は自発的に傲慢になりやすい。なんと恐ろしい学問であろうか。ただしこれは人間が弱いのであって物理に悪意はない。立派なことに、ここで墜ちない学友は理解している。物理は自然を表す傍観者であって、自然を動かす主体ではない。

ところが物理は文学ではない。自然の表し方に序列をつけた。これが自然科学に分類される所以だと私は考える。すなわち、数値的に良い近似であることが指標となったことで物理は自然科学の信頼を得た。理系に分類され、受験で数値結果を求めるようになる。

物理は計算を多用する。何故か。厳密なところまで解釈がブレないからである。計算のない物理の教科書などあっただろうか。そんなものはおそらく検定に落ちている。計算が自然科学としての物理に信用を与えてくれる。人々にも信じられ、宗教と化す。

ここで人は考える。物理とは何か。物理とは絶対的である。唯一神たる基本原理に支配される世界。なんと美しい眺めだ。きっとそうにちがいない。人々によってそういった神話が生まれ、信仰するようになる事もある。

ところが、これを読む者は知っている。物理は自然科学性に味付けされた「文学」に過ぎない。唯一神とは、なるほど、なかなかに良くできた喜劇だ。このような滑稽なピエロが沢山生み出されるこの学問は一方で悲劇であろう。

この悲劇を終わらせたい。といって微積は非難を受け続けている。確かに微積は「物理教」においてかなり重要な生命線である。それは、神である基本原理を読み解くのに必要な神学であるのだから。ただ、こうは感じないだろうか。宗教を無くす手段として必死に神学を潰すのは、傍からみればなかなか対処療法的で、間の抜けた方法であるような気がする。

自然科学である物理の試験では多様な答えは良いとは言えない。数値結果となれば唯一的な答えである事が求められる。よって、試験における物理というのは、まるで出る文章が予め分かっている文学の試験のように、予め出る表し方が決められている。高校物理ではこの表し方をさらうようにカリキュラムが組まれている。見よ、本来の物理から文学的で自由な部分が削ぎ落とされてしまった。もうこれは物理とは言えない。そもそも物理の中心は文学的であったのだから。

ただ、物理は本来計算が本質ではない。突貫人工的である大学入試物理において、現実を無視した様な結果はザラである。勿論その結果は実際には人がミスで作り出してしまうことが多いのだが、計算を基本に据える事は物理には向いていない事は誰の目にも明らかなはずだ。どうすれば良いのか。それは文学を取り戻してやれば良いのである。すなわち、文学的物理をささやかに息づかせるために、計算は現実を見据えて行わなければならないのだ。

非文学的物理。なかなかに面倒なものが作り出されてしまった。世の中の受験生はこれに取り組み苦しまなくてはならない。難儀なことである。

前提や必要要件

  • これは物理の典型問題を迅速に解く為の思考転換の一方法であって、物理がわかるようになる事を狙ったものではない
  • 物理的な定性的イメージがなくても解ける場合はあるが、それでもある程度の定性的イメージができることを前提とする。
  • 計算や数学的知識については習得しているものとする。

思考の流れ

  1. 問題文を読み設定を把握する。
  2. 設定にでてくる事象それぞれを必要なだけ全て、出題者が意図しているだろう方法で方程式に翻訳する。
  3. 連立し、既知もしくは既に求められている物理量のみを用いて求めるべき物理量を表す。
  4. 各計算を定性的イメージと照らし合わせ、余りに外れている場合はミスを疑う。

事象と対応する方程式

必須の知識