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==第0章 記号の定義==
 
==第0章 記号の定義==
以下、$ \mathbb{N} $$ 0 $以上の整数の集合を表すことにする。
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\( \mathbb{N} \)\( 0 \)以上の整数の集合を表すことにする。
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\( \mathbb{R} \)で実数全体の集合を表すことにする。
  
 
==第1章 順序数==
 
==第1章 順序数==
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===第1節 直積===
 
===第1節 直積===
集合$ A $$ B $に対し、$ A $$ B $の直積とは、$ \{ (a,b) \mid a \in A, b \in B \} $のことであり、$ A \times B $で表す。
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集合\( A \)\( B \)に対し、\( A \)\( B \)の直積とは、\( \{ (a,b) \mid a \in A, b \in B \} \)のことであり、\( A \times B \)で表す。
  
 
以下に例を示す。
 
以下に例を示す。
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$$ \{ 1, 2, 3 \} \times \{ a, b\} = \{ (1,a), (1,b), (2,a), (2,b), (3,a), (3,b) \} $$
 
$$ \{ 1, 2, 3 \} \times \{ a, b\} = \{ (1,a), (1,b), (2,a), (2,b), (3,a), (3,b) \} $$
  
$$ \mathbb{ N } \times \{ 1 \} = \{ (0,1), (1,1), (2,1), \cdots \} = \{ (x,1) | x \in \mathbb{N} \} $$
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$$ \mathbb{N} \times \{ 1 \} = \{ (0,1), (1,1), (2,1), \cdots \} = \{ (x,1) | x \in \mathbb{N} \} $$
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\( \mathbb{R} \times \mathbb{R} = \{ (x,y) \mid x, y \in \mathbb{R} \} \)であるが、\( (x,y) \)を座標だと思うと、これは座標平面全体に対応する。
  
 
===第2節 関係===
 
===第2節 関係===
集合$ A $に対し、$ A $上の関係とは、$ A \times A $の部分集合のことである。
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集合\( A \)に対し、\( A \)上の関係とは、\( A \times A \)の部分集合のことである。関係は英語でrelationと呼ばれるため、その頭文字を取って\( R \)で表されることが多い。
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\( (a,b) \in R \)であるとき、\( a R b \)と書くこともある。
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以下に例を示す。
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\( A = \{ 1, 2, 3 \} \)上の関係\( R \)を\( \{ (1,1), (1,2), (2,1), (2,2), (3,3) \} \)とすると、\( 1R1, 1R2, 2R1, 2R2, 3R3 \)であるが、\( 1R3, 2R3, 3R1, 3R2 \)ではない。
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\( \mathbb{R} \)上の関係\( L \)を\( \{ (x,y) \mid x \leq y \} \)で定義する。このとき\( xLy \)と\( x \leq y \)は同値である。
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\( \mathbb{R} \)上の関係\( E \)を\( \{ (x,x) \mid x \in \mathbb{R} \} \)で定義する。このとき\( xRy \)と\( x = y \)は同値である。
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===第3節 全順序集合===
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集合\( T \)とその上の関係\( R \)の組\( \langle T , R \rangle \)が全順序集合であるとは、\( R \)が次の性質を満たすことである。
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# どんな\( x \in T \)に対しても、\( xRx \)が成り立つ。(反射性)
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# 「\( xRy \) かつ \( yRx \)」 ならば、 「\( x=y \)」。(反対称性)
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# 「\( xRy \) かつ \( yRz \)」 ならば、 「\( xRz \)」。(推移性)
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# どんな\( x,y \in T \)に対しても、\( xRy \)と\( yRx \)の少なくとも一方が成り立つ。(比較可能性)
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全順序集合とは、\( \langle T , R \rangle \)という組のことであって、\( T \)そのものや\( R \)そのものを指しているわけではない。
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以下に例を示す。
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\( A = \{ 1, 2, 3 \} \)上の関係\( B \)を\( \{ (1,1), (1,2), (2,1), (2,2), (3,3) \} \)とすると、\( B \)は反射性と推移性を満たすが、反対称性と比較可能性は満たしていないので、\( \langle A , B \rangle \)は全順序集合ではない。
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\( T = \{ R, P, S \} \)上の関係\( M \)を\( \{ (R,R), (R,P), (P,P), (P,S), (S,S), (S,R) \} \)とすると、\( M \)は反射性、反対称性、比較可能性を満たすが、推移性は満たしていないので、\( \langle T , M\rangle \)は全順序集合ではない。
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\( A = \{ 1, 2, 3 \} \)上の関係\( C \)を\( \{ (1,1), (2,1), (2,2), (3,1), (3,2), (3,3) \} \)とすると、\( C \)は反射性、反対称性、推移性、比較可能性の全てを満たすので、\( \langle A , C \rangle \)は全順序集合である。
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\( \mathbb{R} \)上の関係\( L \)を\( \{ (x,y) \mid x \leq y \} \)で定義すると、\( L \)は反射性、反対称性、推移性、比較可能性の全てを満たすので、\( \langle \mathbb{R} , L \rangle \)は全順序集合である。

2021年2月2日 (火) 16:04時点における版

この記事はジョークではありません

前提知識: 高校数学(主に「集合と論理」)。(2012~2021年度の教育課程における)数Ⅲの知識は(たぶん)全く必要ない。

目標知識: 到達不可能基数の定義。あわよくばマーロ基数まで行きたい。

参考文献: 巨大数研究Wiki

第0章 記号の定義

\( \mathbb{N} \)で\( 0 \)以上の整数の集合を表すことにする。

\( \mathbb{R} \)で実数全体の集合を表すことにする。

第1章 順序数

参考文献: 巨大数研究Wiki「順序数」

第1節 直積

集合\( A \)と\( B \)に対し、\( A \)と\( B \)の直積とは、\( \{ (a,b) \mid a \in A, b \in B \} \)のことであり、\( A \times B \)で表す。

以下に例を示す。

$$ \{ 1, 2, 3 \} \times \{ a, b\} = \{ (1,a), (1,b), (2,a), (2,b), (3,a), (3,b) \} $$

$$ \mathbb{N} \times \{ 1 \} = \{ (0,1), (1,1), (2,1), \cdots \} = \{ (x,1) | x \in \mathbb{N} \} $$

\( \mathbb{R} \times \mathbb{R} = \{ (x,y) \mid x, y \in \mathbb{R} \} \)であるが、\( (x,y) \)を座標だと思うと、これは座標平面全体に対応する。

第2節 関係

集合\( A \)に対し、\( A \)上の関係とは、\( A \times A \)の部分集合のことである。関係は英語でrelationと呼ばれるため、その頭文字を取って\( R \)で表されることが多い。

\( (a,b) \in R \)であるとき、\( a R b \)と書くこともある。

以下に例を示す。

\( A = \{ 1, 2, 3 \} \)上の関係\( R \)を\( \{ (1,1), (1,2), (2,1), (2,2), (3,3) \} \)とすると、\( 1R1, 1R2, 2R1, 2R2, 3R3 \)であるが、\( 1R3, 2R3, 3R1, 3R2 \)ではない。

\( \mathbb{R} \)上の関係\( L \)を\( \{ (x,y) \mid x \leq y \} \)で定義する。このとき\( xLy \)と\( x \leq y \)は同値である。

\( \mathbb{R} \)上の関係\( E \)を\( \{ (x,x) \mid x \in \mathbb{R} \} \)で定義する。このとき\( xRy \)と\( x = y \)は同値である。

第3節 全順序集合

集合\( T \)とその上の関係\( R \)の組\( \langle T , R \rangle \)が全順序集合であるとは、\( R \)が次の性質を満たすことである。

  1. どんな\( x \in T \)に対しても、\( xRx \)が成り立つ。(反射性)
  2. 「\( xRy \) かつ \( yRx \)」 ならば、 「\( x=y \)」。(反対称性)
  3. 「\( xRy \) かつ \( yRz \)」 ならば、 「\( xRz \)」。(推移性)
  4. どんな\( x,y \in T \)に対しても、\( xRy \)と\( yRx \)の少なくとも一方が成り立つ。(比較可能性)

全順序集合とは、\( \langle T , R \rangle \)という組のことであって、\( T \)そのものや\( R \)そのものを指しているわけではない。

以下に例を示す。

\( A = \{ 1, 2, 3 \} \)上の関係\( B \)を\( \{ (1,1), (1,2), (2,1), (2,2), (3,3) \} \)とすると、\( B \)は反射性と推移性を満たすが、反対称性と比較可能性は満たしていないので、\( \langle A , B \rangle \)は全順序集合ではない。

\( T = \{ R, P, S \} \)上の関係\( M \)を\( \{ (R,R), (R,P), (P,P), (P,S), (S,S), (S,R) \} \)とすると、\( M \)は反射性、反対称性、比較可能性を満たすが、推移性は満たしていないので、\( \langle T , M\rangle \)は全順序集合ではない。

\( A = \{ 1, 2, 3 \} \)上の関係\( C \)を\( \{ (1,1), (2,1), (2,2), (3,1), (3,2), (3,3) \} \)とすると、\( C \)は反射性、反対称性、推移性、比較可能性の全てを満たすので、\( \langle A , C \rangle \)は全順序集合である。

\( \mathbb{R} \)上の関係\( L \)を\( \{ (x,y) \mid x \leq y \} \)で定義すると、\( L \)は反射性、反対称性、推移性、比較可能性の全てを満たすので、\( \langle \mathbb{R} , L \rangle \)は全順序集合である。