「利用者:Nayuta Ito/素微分友愛数の研究の進展/独自研究」の版間の差分
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+ | \( p_n \)で\( n \)番目の素数を表す。また、\( \log \)は全て自然対数である。 | ||
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==予想: 素数の2倍が素微分友愛数となることはない== | ==予想: 素数の2倍が素微分友愛数となることはない== | ||
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mod5で考えるとc+2b'は5の倍数 | mod5で考えるとc+2b'は5の倍数 | ||
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+ | [https://mathworld.wolfram.com/RossersTheorem.html Rosser's Theorem]によると、\( n \)番目の素数は\( n \log{n} \)より大きい。 | ||
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+ | また、\( n \geq 6 \)のとき、\( n \)番目の素数は\( n (\log{n} + \log{\log{n}}) \)より小さいことが[https://en.wikipedia.org/wiki/Prime_number_theorem#Approximations_for_the_nth_prime_number 知られている。] | ||
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+ | \( n (\log{n} + \log{\log{n}}) < 2n \log{n} \)であることは容易にわかる。また、数値計算と合わせて\( p_n < 2n \log{n} \)が\( n \geq 3 \)で成り立つことが分かる。 | ||
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+ | ===証明=== | ||
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+ | 10番目(29#)までの素数階乗は実験により素微分友愛数でないことが確かめられる | ||
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+ | N=(n番目の素数階乗)について考えその大きさを評価する | ||
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+ | n>=11のとき | ||
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+ | \( N < (2n \log{n})^n \)である | ||
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+ | \( \begin{align} | ||
+ | & N' \\ | ||
+ | <& \frac{1}{2} \cdot (2n \log{n})^n \cdot n \\ | ||
+ | =& 2^{n-1} \cdot (\log{n})^n \cdot n^{n+1} \\ | ||
+ | =& n^{n+1 + (n-1)\log_n{2} + n\log_n{\log{n}}} \\ | ||
+ | <& n^{n+1 + n\log_n{2\log{n}}} \\ | ||
+ | <& n^{n+1 + n\log_n{2n^{0.4}}} \\ | ||
+ | <& n^{n+1 + 0.37n + n\log_n{2}} \\ | ||
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+ | <& n^{1.76n} | ||
+ | \end{align} \) | ||
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+ | \( N' \)の素因数は\( p_n \)以上であるから、素因数は最大でも\( 1.76n \)個しか持たない | ||
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+ | よって\( N' \)の素因数の逆数の総和を\( T \)とすると | ||
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+ | <& \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \cdots + \frac{1}{p_n} \\ | ||
+ | \leq & \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{p_k} + \sum_{k=11}^n \frac{1}{n\log{n}} \\ | ||
+ | <& \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{p_k} + \int_{10}^n \frac{1}{x\log{x}} dx (\because \frac{1}{x\log{x}}は単調減少) \\ | ||
+ | =& \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{p_k} - \log{\log{10}} \\ | ||
+ | <& \log{\log{n}} + 0.7 \\ | ||
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+ | \( \frac{d}{dx}f(x) = - \frac{2(\log{\log{x}})}{x(\log{x})^2} \) | ||
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+ | であるから、\( x > e \)で\( f(x) \)は単調減少である。 | ||
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+ | 数値計算によると\( x \geq 30 \)で\( f(x) < 1 \)となるから矛盾。 | ||
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+ | よって\( 30 \)番目の素数階乗まで調べればよい。わんだほーい!!! |
2022年5月14日 (土) 18:23時点における版
\( p_n \)で\( n \)番目の素数を表す。また、\( \log \)は全て自然対数である。
目次
予想: 素数の2倍が素微分友愛数となることはない
pを素数とし、2pが素微分友愛数であるとする
(2p)'=p+2である
p+2が約数がすごく多くて微分すると2pに戻ってくる
pを6で割った余りで場合分けする
p=6a+1のとき
p+2=6a+3=3(2a+1)なのでこれは3の倍数になる
2a+1=bとおくと2p=(2p)''=(2a+1)+3b'となる
これが偶数ということはb'は奇数
b'=2c+1とすると
a+3c+2=pである
p=6a+1と仮定したのでa%3=2
a=3d+2とする(このときp=18d+13である)
3d+3c+4=pである
このとき明らかにc+dは奇数
p=6a-1のとき
p+2=6a+1は奇数
予想: 素数の5倍が素微分友愛数となることはない
pを素数とし、5pが素微分友愛数であるとする
(5p)'=p+5である
p+5が約数がすごく多くて微分すると5pに戻ってくる
かなりえぐい
pを5で割った余りで場合分けする
p=6a+1のとき
p+5=6a+6=2・3(a+1)
(p+2)'=3(a+1)+2(a+1)+6(a+1)'=5(a+1)+6(a+1)'=5a+5+6(a+1)'
すなわち6(a+1)'=a+1である
a+1は6の倍数なのでa=6b-1とする
このとき(a+1)'=(6b)'=5b+6b'であるから
6(a+1)'=30b+36b'>6b=a
よって矛盾が生じた
p=6a-1のとき
p+5=2(3a+2)は偶数
3a+2=bとおくと(5p)''=(3a+2)+2b'となる
左辺は奇数なのでaは奇数
左辺は3で割って1余るのでb'は3で割って1余る
a=2c+1とおく(このときp=12c+5である)
5p=(5p)''=(6c+5)+2b'
mod5で考えるとc+2b'は5の倍数
予想: 素数階乗は素微分友愛数にならない
素数定理
Rosser's Theoremによると、\( n \)番目の素数は\( n \log{n} \)より大きい。
また、\( n \geq 6 \)のとき、\( n \)番目の素数は\( n (\log{n} + \log{\log{n}}) \)より小さいことが知られている。
\( n (\log{n} + \log{\log{n}}) < 2n \log{n} \)であることは容易にわかる。また、数値計算と合わせて\( p_n < 2n \log{n} \)が\( n \geq 3 \)で成り立つことが分かる。
証明
10番目(29#)までの素数階乗は実験により素微分友愛数でないことが確かめられる
N=(n番目の素数階乗)について考えその大きさを評価する
n>=11のとき
\( N < (2n \log{n})^n \)である
\( \begin{align} & N' \\ <& \frac{1}{2} \cdot (2n \log{n})^n \cdot n \\ =& 2^{n-1} \cdot (\log{n})^n \cdot n^{n+1} \\ =& n^{n+1 + (n-1)\log_n{2} + n\log_n{\log{n}}} \\ <& n^{n+1 + n\log_n{2\log{n}}} \\ <& n^{n+1 + n\log_n{2n^{0.4}}} \\ <& n^{n+1 + 0.37n + n\log_n{2}} \\ <& n^{n+0.1n + 0.37n + 0.29n} \\ <& n^{1.76n} \end{align} \)
\( N' \)の素因数は\( p_n \)以上であるから、素因数は最大でも\( 1.76n \)個しか持たない
よって\( N' \)の素因数の逆数の総和を\( T \)とすると
\( 0 < T < \frac{1.76n}{n\log{n}} = \frac{1.76}{\log{n}} \)
が成り立つ
n>10とする
また\( N \)の素因数の逆数の総和を\( S \)とすると
\( \begin{align} & S \\ <& \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \cdots + \frac{1}{p_n} \\ \leq & \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{p_k} + \sum_{k=11}^n \frac{1}{n\log{n}} \\ <& \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{p_k} + \int_{10}^n \frac{1}{x\log{x}} dx (\because \frac{1}{x\log{x}}は単調減少) \\ =& \sum_{k=1}^{10}\frac{1}{p_k} - \log{\log{10}} \\ <& \log{\log{n}} + 0.7 \\ \end{align} \)
であるから
\( S \cdot T < \frac{1.76}{\log{n}}(\log{\log{n}} + 0.7) \)
である。
\( f(x) = \frac{1.76}{\log{x}}(\log{\log{x}} + 0.7) \)
とおくと、
\( \frac{d}{dx}f(x) = - \frac{2(\log{\log{x}})}{x(\log{x})^2} \)
であるから、\( x > e \)で\( f(x) \)は単調減少である。
数値計算によると\( x \geq 30 \)で\( f(x) < 1 \)となるから矛盾。
よって\( 30 \)番目の素数階乗まで調べればよい。わんだほーい!!!