「ガラパゴ累乗定理」の版間の差分
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[[ガラパゴ数学]]の主定理の一つで、$$+1$$ と $$+z$$ を基底の元とする $$\mathbb{R}^2$$ 斜交平面上の幾何を扱うことを主目的として [[みゆ]] によって導出された。 | [[ガラパゴ数学]]の主定理の一つで、$$+1$$ と $$+z$$ を基底の元とする $$\mathbb{R}^2$$ 斜交平面上の幾何を扱うことを主目的として [[みゆ]] によって導出された。 | ||
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− | 複素平面上において、$$0$$ を始点とし $$+1$$ を終点とするベクトル $$\vec{s}$$ と、同じく $$0$$ を始点とし実数ではない任意の複素数 $$z$$ を終点とするベクトル $$\vec{t}$$ は線形独立である。$$\vec{t}$$ を、原点を中心として $$\vec{s}$$ と $$\vec{t}$$ の成す角度の整数倍回転させて得られるベクトル $$\vec{u}$$ | + | 複素平面上において、$$0$$ を始点とし $$+1$$ を終点とするベクトル $$\vec{s}$$ と、同じく $$0$$ を始点とし実数ではない任意の複素数 $$z$$ を終点とするベクトル $$\vec{t}$$ は線形独立である。$$\vec{t}$$ を、原点を中心として $$\vec{s}$$ と $$\vec{t}$$ の成す角度の整数倍回転させて得られるベクトル $$\vec{u}$$ は、本定理によって $$\vec{s}$$ と $$\vec{t}$$ を基底の元とするベクトル空間上に表現可能である。すなわち、次のような幾何イメージを得る。 |
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===ガラパゴ三辺比定理=== | ===ガラパゴ三辺比定理=== | ||
− | ユークリッド平面上の三角形 $$\triangle OAB$$ において、長さが $$x$$ の辺 $$OA$$ と 長さが $$y$$ の辺 $$AB$$ の成す内角が $$\angle A=\theta~\mathrm{rad}$$ である場合、辺 $$OB$$ を $$O$$ を中心として $$\angle O$$ の偶数倍回転させ、それに伴って各辺の長さを伸縮(負数倍も可)して得られる新たな三角形の三辺比は $$x$$、$$y$$、$$c=\cos\theta$$ | + | ユークリッド平面上の三角形 $$\triangle OAB$$ において、長さが $$x$$ の辺 $$OA$$ と 長さが $$y$$ の辺 $$AB$$ の成す内角が $$\angle A=\theta~\mathrm{rad}$$ である場合、辺 $$OB$$ を $$O$$ を中心として $$\angle O$$ の偶数倍回転させ、それに伴って各辺の長さを伸縮(負数倍も可)して得られる新たな三角形の三辺比は $$x$$、$$y$$、$$c=\cos\theta$$ の整式で表せるという定理である。これは本定理の応用によって得られるものであるが、詳しくは[[ガラパゴ三辺比定理]]を参照のこと。 |
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2019年12月12日 (木) 08:34時点における版
ガラパゴ累乗定理(ガラパゴるいじょうていり)とは、複素数(多元数)$$z$$ の累乗は $$r=2\mathrm{Re}(z)$$ と $$l=|z|^2$$ より構成される代数的多項式 $$P$$、$$Q$$ を用いて $$Pz+Q$$ という一次結合の形で表せるという定理である。
ガラパゴ数学の主定理の一つで、$$+1$$ と $$+z$$ を基底の元とする $$\mathbb{R}^2$$ 斜交平面上の幾何を扱うことを主目的として みゆ によって導出された。
概要
複素数 $$z$$ の 整数 $$n$$ 乗は、$$r=2\mathrm{Re}(z)$$ と $$l=|z|^2$$ を用いて次のように表せる。
- $$z^n=A_{n}z-A_{n-1}\quad\begin{cases} A_0=0\\ A_1=1\\ A_{k}=(A_{k-1})r-(A_{k-2})l \end{cases}$$
- $$\begin{array}{l} z^1=&z\\ z^2=&rz-l\\ z^3=&(r^2-l)z-rl\\ z^4=&(r^3-2rl)z-(r^2-l)l\\ z^5=&(r^4-3r^2l+l^2)z-(r^3-2rl)l\\ &\quad\quad\quad\vdots\\ \end{array}$$
- $$z^n=\displaystyle\left[\sum_{k=0}^{\lfloor (n-1)/2\rfloor}\binom{n-k-1}{k}(-1)^kr^{n-2k-1}l^{k}\right]z-\left[\sum_{k=0}^{\lfloor (n-2)/2\rfloor}\binom{n-k-2}{k}(-1)^kr^{n-2k-2}l^{k}\right]l$$
特に、 $$z=e^{i\theta}$$ のとき、$$r=2\cos\theta$$、$$l=1$$ であることから
- $$z^n=A_{n}z-A_{n-1}\quad\begin{cases} A_0=0\\ A_1=1\\ A_{k}=(A_{k-1})r-(A_{k-2})=2(A_{k-1})\cos\theta-(A_{k-2}) \end{cases}$$
- $$\begin{array}{l} z^1&=z&\\ z^2&=rz-1&=(2\cos\theta)z-1\\ z^3&=(r^2-1)z-r&=[(2\cos\theta)^2-1]z-(2\cos\theta)\\ z^4&=(r^3-2r)z-(r^2-1)&=[(2\cos\theta)^3-2(2\cos\theta)]z-[(2\cos\theta)^2-1]\\ z^5&=(r^4-3r^2+1)z-(r^3-2r)&=[(2\cos\theta)^4-3(2\cos\theta)^2+1]z-[(2\cos\theta)^3-2(2\cos\theta)]\\ &\quad\quad\quad\vdots\\ \end{array}$$
- $$z^n=\displaystyle\left[\sum_{k=0}^{\lfloor (n-1)/2\rfloor}\binom{n-k-1}{k}(-1)^k(2\cos\theta)^{n-2k-1}\right]z-\left[\sum_{k=0}^{\lfloor (n-2)/2\rfloor}\binom{n-k-2}{k}(-1)^k(2\cos\theta)^{n-2k-2}\right]$$
導出
$$\{a,b\in\mathbb{Z}\}、\{z\in\mathbb{C}\}$$ において、$$+1$$ と $$+i$$ を基底の元とする $$\mathbb{R}^2$$ 上の複素数 $$z=a+bi$$ を次のように二乗する。
\begin{align*} z^2=&(a+bi)(a+bi)\\ =&(a+bi)(2a-(a-bi))\\ =&2a(a+bi)-(a+bi)(a-bi)\\ =&2a(a+bi)-(a^2+b^2)\\ =&2a(a+bi)-\sqrt{a^2+b^2}^2\\ =&2\mathrm{Re}(z)z-|z|^2\\ \end{align*}
ここで、$$r=2\mathrm{Re}(z)$$、$$l=|z|^2$$ と置くと
\begin{align*} z^2=rz-l \end{align*}
両辺に $$z$$ を乗じると $$z^3=rz^2-lz$$ となり、右辺に $$z^2=rz-1$$ を代入することで $$Pz+Q$$ の形へと変形できる。この操作を再帰的に繰り返し、任意の整数乗を $$Pz+Q$$ の形へと帰結させて恒等式を得る。
上記は $$z\cdot\bar{z}=|z|^2$$($$\bar{z}$$ は $$z$$ の共役)、すなわち「共役同士の積は偏角が相殺されて結果的に絶対値同士の積に一致する」という性質を利用したものであり、$$\bar{z}$$ を用いて導出を書き改めるなら
- $$z^2=z\cdot z=z\left(2\mathrm{Re}(z)-\bar{z}\right)=2\mathrm{Re}(z)z-|z|^2$$
となる。
この性質は $$z$$ が四元数など多元数であっても同様であり、また考慮すべき積が累乗のみであることからこの定理は多元数にも適用可能である。
幾何への応用
複素平面上において、$$0$$ を始点とし $$+1$$ を終点とするベクトル $$\vec{s}$$ と、同じく $$0$$ を始点とし実数ではない任意の複素数 $$z$$ を終点とするベクトル $$\vec{t}$$ は線形独立である。$$\vec{t}$$ を、原点を中心として $$\vec{s}$$ と $$\vec{t}$$ の成す角度の整数倍回転させて得られるベクトル $$\vec{u}$$ は、本定理によって $$\vec{s}$$ と $$\vec{t}$$ を基底の元とするベクトル空間上に表現可能である。すなわち、次のような幾何イメージを得る。
ガラパゴ三辺比定理
ユークリッド平面上の三角形 $$\triangle OAB$$ において、長さが $$x$$ の辺 $$OA$$ と 長さが $$y$$ の辺 $$AB$$ の成す内角が $$\angle A=\theta~\mathrm{rad}$$ である場合、辺 $$OB$$ を $$O$$ を中心として $$\angle O$$ の偶数倍回転させ、それに伴って各辺の長さを伸縮(負数倍も可)して得られる新たな三角形の三辺比は $$x$$、$$y$$、$$c=\cos\theta$$ の整式で表せるという定理である。これは本定理の応用によって得られるものであるが、詳しくはガラパゴ三辺比定理を参照のこと。
ガラパゴ三角関数
$$+1$$ と $$z=e^{i\theta}$$ を理論上の基底の元($$z$$ が実数であっても独立した元であるものとみなして区別)とする斜交座標系において、極座標 $$e^{xz}$$ の示す座標の実部と $$z$$ 部を得る関数として次のような等式を想定する。
- $$e^{xz}=\cos(x,z)+z\sin(x,z)$$
これらの関数 $$\cos(x,z)$$ と $$\sin(x,z)$$ のマクローリン展開形は、本定理によって示すことが可能である。詳しくはガラパゴ三角関数を参照のこと。