「質点の方程式」の版間の差分
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m\ddot{\bm{x}}=\bm{F}\] | m\ddot{\bm{x}}=\bm{F}\] | ||
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+ | 時刻 \(t=0\) に、質量 \(m\) の質点 \(P\) が原点で静止している。ここで \((\frac{mg}{\omega t+1},mg,0)\) の力をかける。この時の質点の座標を \(t\) の関数として求める。 | ||
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+ | 時刻 \(t\) での \(P\) の座標を \(\bm{x}\) とすると、 | ||
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+ | \begin{array}{c} \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)+at+b\\\frac12gt^2+ct+d\\pt+q | ||
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+ | 最初の速度は \(\bm{0}\)、位置ベクトルは \(\bm{0}\) なので(初期条件)、 | ||
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+ | ===複数まとめて扱う=== | ||
+ | 質量 \(m\) の質点 \(P\) と質量 \(M\) の質点 \(Q\) が時刻 \(t=0\) でどちらも原点に静止していた。\(P\) は \(Q\) 以外から \(x\) 軸方向に \(f'(t)\)、\(Q\) は \(P\) 以外から \(x\) 軸方向に \(g'(t)\)の力をかけられている。\(P\) と \(Q\) は互いに力を及ぼし合うが、このときの重心の \(x\) 座標を \(t\) の関数として求める。 | ||
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+ | m\ddot{p}=f'(t)+F\\ | ||
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+ | G=\frac{mp+Mq}{m+M} | ||
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+ | この連立方程式を解く。ただし \(G\) は重心の座標、\(p\) は \(P\) の座標、\(q\) は \(Q\) の座標。また、\(F\) は \(Q\) が \(P\) に伝える力である。 | ||
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+ | m\ddot{p}+M\ddot{q}&=&f'(t)+g'(t)\\ | ||
+ | m\dot{p}+M\dot{q}&=&f(t)-f(0)+g(t)-g(0)\\ | ||
+ | mp+Mq&=&\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t | ||
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+ | G &=&\frac{mp+Mq}{m+M}\\ | ||
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+ | ===時刻でなく位置が変数の関数=== | ||
+ | 質量 \(m\) の物体の座標が \(x\) のときに \(+x\) 方向に\(ma\cdot f'(x) (>0)\) の力をかける場合、速さを \(t\) を用いずに \(x\) で表す。ただし時刻 \(t=0\) の時の速さは0。( \(a\) は定数) | ||
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+ | \[m\ddot{x}=ma\cdot f'(x)\] | ||
+ | \[\int\ddot{x}dx=a\int f'(x)dx\] | ||
+ | \[\frac12|\dot{x}|^2=a(f(x)-f(0))\] | ||
+ | \[|\dot{x}|=\sqrt{2a(f(x)-f(0))}\] |
2019年10月19日 (土) 01:53時点における最新版
大学入試と「物理」において質点の方程式とは、質点の運動を表す手段の呼び名である。
大学入試と「物理」では(ニュートンの)運動方程式と呼ばれているものを用いる。
\[\newcommand{\bm}[1]{\boldsymbol{#1}} m\ddot{\bm{x}}=\bm{F}\]
- \(m\) :質点の質量(定数)
- \(\bm{F}\) :質点にかかる合力( \(t\) の関数)
- \(\bm{x}\) :質点の位置ベクトル( \(t\) の関数)
これはいわゆる微分方程式である。
使い方の例
単純な例
時刻 \(t=0\) に、質量 \(m\) の質点 \(P\) が原点で静止している。ここで \((\frac{mg}{\omega t+1},mg,0)\) の力をかける。この時の質点の座標を \(t\) の関数として求める。 ( \(g,\omega\) は定数)
時刻 \(t\) での \(P\) の座標を \(\bm{x}\) とすると、 \[m\ddot{\bm{x}}=\left( \begin{array}{c} \frac{mg}{\omega t+1}\\mg\\0 \end{array}\right) \] \[\ddot{\bm{x}}=\left( \begin{array}{c} \frac g{\omega t+1}\\g\\0 \end{array}\right) \] \[\dot{\bm{x}}=\left( \begin{array}{c} \frac g\omega\cdot\ln(\omega t+1)+a\\gt+c\\p \end{array}\right) \] \[\bm{x}=\left( \begin{array}{c} \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)+at+b\\\frac12gt^2+ct+d\\pt+q \end{array}\right) \] ( \(a,b,c,d,p,q\) は定数)
最初の速度は \(\bm{0}\)、位置ベクトルは \(\bm{0}\) なので(初期条件)、 \[\bm{x}=\left( \begin{array}{c} \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)\\\frac12gt^2\\0 \end{array}\right) \]
複数まとめて扱う
質量 \(m\) の質点 \(P\) と質量 \(M\) の質点 \(Q\) が時刻 \(t=0\) でどちらも原点に静止していた。\(P\) は \(Q\) 以外から \(x\) 軸方向に \(f'(t)\)、\(Q\) は \(P\) 以外から \(x\) 軸方向に \(g'(t)\)の力をかけられている。\(P\) と \(Q\) は互いに力を及ぼし合うが、このときの重心の \(x\) 座標を \(t\) の関数として求める。
\begin{cases} m\ddot{p}=f'(t)+F\\ M\ddot{q}=g'(t)-F\\ G=\frac{mp+Mq}{m+M} \end{cases} この連立方程式を解く。ただし \(G\) は重心の座標、\(p\) は \(P\) の座標、\(q\) は \(Q\) の座標。また、\(F\) は \(Q\) が \(P\) に伝える力である。 上式、中式より \begin{eqnarray*} m\ddot{p}+M\ddot{q}&=&f'(t)+g'(t)\\ m\dot{p}+M\dot{q}&=&f(t)-f(0)+g(t)-g(0)\\ mp+Mq&=&\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t \end{eqnarray*} \begin{eqnarray*} G &=&\frac{mp+Mq}{m+M}\\ &=&\frac1{m+M}\left(\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t\right) \end{eqnarray*}
時刻でなく位置が変数の関数
質量 \(m\) の物体の座標が \(x\) のときに \(+x\) 方向に\(ma\cdot f'(x) (>0)\) の力をかける場合、速さを \(t\) を用いずに \(x\) で表す。ただし時刻 \(t=0\) の時の速さは0。( \(a\) は定数)
\[m\ddot{x}=ma\cdot f'(x)\] \[\int\ddot{x}dx=a\int f'(x)dx\] \[\frac12|\dot{x}|^2=a(f(x)-f(0))\] \[|\dot{x}|=\sqrt{2a(f(x)-f(0))}\]