「質点の方程式」の版間の差分

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質点とみなせる物体の運動は大抵次の式で表現する。
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[[大学入試と「物理」]]において'''質点の方程式'''とは、質点の運動を表す手段の呼び名である。
\[m\ddot{\bf{x}}=\bm{F}\]
 
  
ここで\(m\)は質点の質量(定数)、\(F\)はその質点にかかる合力であり、\(x\)は位置ベクトル(tの関数)である。
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[[大学入試と「物理」]]では[https://ja.wikipedia.org/wiki/ニュートンの運動方程式 (ニュートンの)運動方程式]と呼ばれているものを用いる。
  
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\[\newcommand{\bm}[1]{\boldsymbol{#1}}
質量\(m\)の質点\(P\)が原点にあり、\((mg\ln(\omega t),mg,0)\)の力をかける。
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m\ddot{\bm{x}}=\bm{F}\]
(\(g,\omega\)は定数)
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時刻tでのPの座標を\(\bm{x}\)とすると、
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* \(m\) :質点の質量(定数)
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* \(\bm{F}\) :質点にかかる合力( \(t\) の関数)
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* \(\bm{x}\) :質点の位置ベクトル( \(t\) の関数)
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これはいわゆる微分方程式である。
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==使い方の例==
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===単純な例===
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時刻 \(t=0\) に、質量 \(m\) の質点 \(P\) が原点で静止している。ここで \((\frac{mg}{\omega t+1},mg,0)\) の力をかける。この時の質点の座標を \(t\) の関数として求める。
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( \(g,\omega\) は定数)
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時刻 \(t\) での \(P\) の座標を \(\bm{x}\) とすると、
 
\[m\ddot{\bm{x}}=\left(
 
\[m\ddot{\bm{x}}=\left(
 
\begin{array}{c}
 
\begin{array}{c}
   mg\ln(\omega t)\\mg\\0
+
   \frac{mg}{\omega t+1}\\mg\\0
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\end{array}\right)
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\]
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\[\ddot{\bm{x}}=\left(
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\begin{array}{c}
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  \frac g{\omega t+1}\\g\\0
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\end{array}\right)
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\]
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\[\dot{\bm{x}}=\left(
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\begin{array}{c}
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  \frac g\omega\cdot\ln(\omega t+1)+a\\gt+c\\p
 +
\end{array}\right)
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\]
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\[\bm{x}=\left(
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\begin{array}{c}  \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)+at+b\\\frac12gt^2+ct+d\\pt+q
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\end{array}\right)
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\]
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( \(a,b,c,d,p,q\) は定数)
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最初の速度は \(\bm{0}\)、位置ベクトルは \(\bm{0}\) なので(初期条件)、
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\[\bm{x}=\left(
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\begin{array}{c}  \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)\\\frac12gt^2\\0
 
\end{array}\right)
 
\end{array}\right)
 
\]
 
\]
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===複数まとめて扱う===
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質量 \(m\) の質点 \(P\) と質量 \(M\) の質点 \(Q\) が時刻 \(t=0\) でどちらも原点に静止していた。\(P\) は \(Q\) 以外から \(x\) 軸方向に \(f'(t)\)、\(Q\) は \(P\) 以外から \(x\) 軸方向に \(g'(t)\)の力をかけられている。\(P\) と \(Q\) は互いに力を及ぼし合うが、このときの重心の \(x\) 座標を \(t\) の関数として求める。
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\begin{cases}
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  m\ddot{p}=f'(t)+F\\
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  M\ddot{q}=g'(t)-F\\
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  G=\frac{mp+Mq}{m+M}
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\end{cases}
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この連立方程式を解く。ただし \(G\) は重心の座標、\(p\) は \(P\) の座標、\(q\) は \(Q\) の座標。また、\(F\) は \(Q\) が \(P\) に伝える力である。
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上式、中式より
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\begin{eqnarray*}
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m\ddot{p}+M\ddot{q}&=&f'(t)+g'(t)\\
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m\dot{p}+M\dot{q}&=&f(t)-f(0)+g(t)-g(0)\\
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mp+Mq&=&\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t
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\end{eqnarray*}
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\begin{eqnarray*}
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G &=&\frac{mp+Mq}{m+M}\\
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&=&\frac1{m+M}\left(\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t\right)
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\end{eqnarray*}
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===時刻でなく位置が変数の関数===
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質量 \(m\) の物体の座標が \(x\) のときに    \(+x\) 方向に\(ma\cdot f'(x) (>0)\) の力をかける場合、速さを \(t\) を用いずに \(x\) で表す。ただし時刻 \(t=0\) の時の速さは0。( \(a\) は定数)
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\[m\ddot{x}=ma\cdot f'(x)\]
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\[\int\ddot{x}dx=a\int f'(x)dx\]
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\[\frac12|\dot{x}|^2=a(f(x)-f(0))\]
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\[|\dot{x}|=\sqrt{2a(f(x)-f(0))}\]

2019年10月19日 (土) 01:53時点における最新版

大学入試と「物理」において質点の方程式とは、質点の運動を表す手段の呼び名である。

大学入試と「物理」では(ニュートンの)運動方程式と呼ばれているものを用いる。

\[\newcommand{\bm}[1]{\boldsymbol{#1}} m\ddot{\bm{x}}=\bm{F}\]

  • \(m\) :質点の質量(定数)
  • \(\bm{F}\) :質点にかかる合力( \(t\) の関数)
  • \(\bm{x}\) :質点の位置ベクトル( \(t\) の関数)

これはいわゆる微分方程式である。

使い方の例

単純な例

時刻 \(t=0\) に、質量 \(m\) の質点 \(P\) が原点で静止している。ここで \((\frac{mg}{\omega t+1},mg,0)\) の力をかける。この時の質点の座標を \(t\) の関数として求める。 ( \(g,\omega\) は定数)


時刻 \(t\) での \(P\) の座標を \(\bm{x}\) とすると、 \[m\ddot{\bm{x}}=\left( \begin{array}{c} \frac{mg}{\omega t+1}\\mg\\0 \end{array}\right) \] \[\ddot{\bm{x}}=\left( \begin{array}{c} \frac g{\omega t+1}\\g\\0 \end{array}\right) \] \[\dot{\bm{x}}=\left( \begin{array}{c} \frac g\omega\cdot\ln(\omega t+1)+a\\gt+c\\p \end{array}\right) \] \[\bm{x}=\left( \begin{array}{c} \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)+at+b\\\frac12gt^2+ct+d\\pt+q \end{array}\right) \] ( \(a,b,c,d,p,q\) は定数)

最初の速度は \(\bm{0}\)、位置ベクトルは \(\bm{0}\) なので(初期条件)、 \[\bm{x}=\left( \begin{array}{c} \frac g{\omega^2}\left((\omega t+1)\cdot\ln(\omega t+1)-\omega t\right)\\\frac12gt^2\\0 \end{array}\right) \]

複数まとめて扱う

質量 \(m\) の質点 \(P\) と質量 \(M\) の質点 \(Q\) が時刻 \(t=0\) でどちらも原点に静止していた。\(P\) は \(Q\) 以外から \(x\) 軸方向に \(f'(t)\)、\(Q\) は \(P\) 以外から \(x\) 軸方向に \(g'(t)\)の力をかけられている。\(P\) と \(Q\) は互いに力を及ぼし合うが、このときの重心の \(x\) 座標を \(t\) の関数として求める。


\begin{cases} m\ddot{p}=f'(t)+F\\ M\ddot{q}=g'(t)-F\\ G=\frac{mp+Mq}{m+M} \end{cases} この連立方程式を解く。ただし \(G\) は重心の座標、\(p\) は \(P\) の座標、\(q\) は \(Q\) の座標。また、\(F\) は \(Q\) が \(P\) に伝える力である。 上式、中式より \begin{eqnarray*} m\ddot{p}+M\ddot{q}&=&f'(t)+g'(t)\\ m\dot{p}+M\dot{q}&=&f(t)-f(0)+g(t)-g(0)\\ mp+Mq&=&\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t \end{eqnarray*} \begin{eqnarray*} G &=&\frac{mp+Mq}{m+M}\\ &=&\frac1{m+M}\left(\int^t_0(f(s)+g(s))ds-(f(0)+g(0))t\right) \end{eqnarray*}

時刻でなく位置が変数の関数

質量 \(m\) の物体の座標が \(x\) のときに \(+x\) 方向に\(ma\cdot f'(x) (>0)\) の力をかける場合、速さを \(t\) を用いずに \(x\) で表す。ただし時刻 \(t=0\) の時の速さは0。( \(a\) は定数)


\[m\ddot{x}=ma\cdot f'(x)\] \[\int\ddot{x}dx=a\int f'(x)dx\] \[\frac12|\dot{x}|^2=a(f(x)-f(0))\] \[|\dot{x}|=\sqrt{2a(f(x)-f(0))}\]